KIYOSHI.HASEGAWA MAXIMUMART
(ある時、私は森の中に迷い込んだ。目の前の2つの分岐する道。どちらへ進むべきか?私は目を凝らした。気付いたのである。この場所は、道が枝分かれしている。この森の木々のように。
闘いが始まった。)
ああ、またか。私は亡霊と闘っているのだろう。見えないものを信じるということは、見えない、得体の知れない敵を感じてしまうということだ。私はどこへ向かえばいいのだろうか。
子供の頃、近所の公園でスケッチ大会があった。私はmという親友と絵を描きに自転車で行った。会場で私は◯の絵を描き、賞に入選された。帰り道、今日は最高だったと話をしながらmと自転車を漕いでいたのだが、突然、大事な絵の具セットを会場に置き忘れてしまったことに気づいた。慌てて公園に戻る。なんてこった。今日は最悪の日だ。エベレストの頂上から深海のクレバーに真っ逆さまに落とされた気分だった。しかし、その後の記憶が私には残っていない。あの後、どうなったのか、わからない…。
その先を思い出すために、確かめるために、私は旅に出た。
(森の中のレンガつくりの小屋のベッドの上で私は目を覚ました。灰色レンガと木々が美しかった。優しい声で「ここで待っていなさい」といわれたが、私は抜け出した。落ち着け、いいか?まず、自分の荷物を探そう。
遠くにもう一軒、小屋があった。)
胸が張り裂けそうに痛み苦しい中、私はそれでも前へ進まなくてはいけないと思い、、、だが、正直進むことは考えられず。とにかくその場に立っていることが精一杯だった。自分が今にも吹き飛んでいきそうな、逃げ出してしまいたくなるような最悪な気分だった。幽体離脱したかのようにダメな自分が客観的に見える。これはヤバイ。相当メンタルにキている。しかし、どうにもできない。そうか、自分ではどうにもできないから、何もすることが思いつかないから苦しいのか。とにかくじっと時が過ぎるのを待つしかなかった。いや、本当にどこかへ消えて無くなりたかった。クラスに居場所が無く、入れない子供がたまにいるが、きっとその子はこんな気持ちなんだろうな。とも同時に思った。 (そうだ、思い出したぞ。そして私はそこからついに、逃げ出したんだ!)
私は落胆した気持ちをどうにもできないまま、名古屋の実家へ帰省した。
すると…確かにそこにあった。当時私が使っていたあの絵の具セットだ。ということは見つかったのか!
なんだ、無事だったか。しかし、思い出せない…絵の具セットという物質があるということだけで、事実はそうなのだが良かったということなのかもしれないが、心に空欄が残ったままであった。
人は渇望するがそれは不完全だからなのだろうか。他者を見て、自分と比較して自分に足りなさを感じるから辛いのか。人生とはそれを埋めるための旅なのだろうか。私は死ぬまでこのような空虚を抱え続けなくてはならないのだろうか、、、。
深い海の底にいるととても居心地がいい。プランクトンのもやが私の身体をすり抜けて上に上がっていく、岩のベッドで仰向けになりそれをみつめていた。あれ?森?レンガの小屋は?記憶が何もかもがぼんやりとしていた。
ふと、自分の居場所はここではないと思った。浮力に任せて水面を目指す。だんだん明るくなってくる。水の中が息苦しいことに気づいてくる。海面までまだ距離がある。ダメかもしれない、、、
プハー
いきを切らせながらたどり着いた。空は眩しい、、くはなく、どんよりした雲。北極のようだ。飛び石のように小さい氷河の陸が一列に並んでとおい先まで続いている、、
私は陸へあがりその先へ進むことにした。
そこへ降り立った小さな翼が、、、
私をじっと見つめている。あれは鳥か?それとも、、、?
ミラージュエンチャントドラゴンだ。
こっちへ来いと言わんばかりにそれはうなずき、背を向け大空へと飛び立った。
「行かなきゃ」直感した。
私は最終手段に出た。事の顛末を、その友人に聞いて見ることにしたのだ。考えてみれば至極当然の対応だ。ただ聞けばいいのである。そこで私はmに携帯ゲーム機の通信機能を利用して、聞いてみることにした。
私「ところであの時絵の具セットどうなったんだっけ?覚えてる?」
m「あー」
苦しい。つらい。道を外れるということが、夢から遠ざかるということが、こんなにも苦しいことだとは、思ってもみなかった。修正しなくてはならない。私の目指すのはここじゃあない。違いすぎる。あまりにも無知であった。おかげで場違いなところに来てしまった。戻りたい、けれどもう戻れない…。
(その廃墟の奥の奥に光るつるぎがあった。いや、違うそっちじゃない。こっちだ!)
あっ!刹那、私はその光に眩み、瞳を閉じた。
、、、
暫く時が過ぎ、再び瞳を開けた頃には、私はなぜか果てしない螺旋階段を宇宙へ向かって登っていた。下を見るとどうしようもない程、高い所まで来てしまったようだ。もう後戻りはできない。今まで何をしていたのかも、忘れてしまった。今、私は何をしているのだろう、、、。とにかく、前へ、上へと向かう流れ、勢いだけが動力源だった。
突然、その階段は途切れていた。
飛び越えることが出来るのだろうか、又はこの登ってきた路を引き返そうか、、、いやできない。立ち止まることさえ足元がフラついて、、、できない。螺旋階段の途中から足場が消えている。所どころ抜けている。しかし、登らなければと思った時、登るしかセレクションできなかった時の恐怖(と勇気)。ああ、悪夢だ。
努力する方向を間違えている。いちばんに行きたい道へ、アイドリングではなく、スロットルをひらけ!。進まなきゃ。流されではなく、自分で決める。
_____↓
最も大切なことは何か?埋も
れてしまう日常の中で何が正し
いのかわからなくなってしまう。
苦労して見い出した人生の道標
なんて、簡単に折られてしまっ
た…そんな自分を責めながら、
私はレーンを外れて、バイクが
赴くがままスピードを上げた。
「ここから進むしかないわな」
言ったのはジョニーだ。私は振
りかえり「そうだな」と答えた。
いつか辿り着くのだろうか。
あの!出前ラーメンのように…
(作者の手記より)
私はその暖簾をくぐりラーメン屋の屋台に入った。客は他におらず自分だけだった。愛想の良い店主が注文はと聞いてくる俺はビールとチャーシューラーメンを1杯注文した。「あいよ」瓶ビールを無造作にどんと俺の前に置き、麺を茹で始めた。
俺は都会に馴染めなかった。田舎で権力のある男だったが都会に来て、てんでダメだった。そこで考えてみた。都会で偉ぶっているやつと田舎で偉ぶっているやつの違い、、、。都会で偉ぶっているやつは、ただのバカだ。
と、老店主は言った。何故か重みがあった。
そして、「良いラーメンのためには強い炎と綺麗な水が必要だ。」と言った。
まさかこんな日を迎えるとは、果てしなく遠い日だと思っていた。だが今日ようやくその日にたどり着いた。今日だけは自分に頑張ったなと言いたい。信じられない位辛い思いをした。何がいけなかったんだろう。こんな思いはもう二度としたくない。だがつらい時期はこうやって突然やってくるのかもしれない。そう思うと不安にさいなまれる。
こんな時はあの詩を思い出そう。
とても暗い闇だった。その中を俺は一人歩いていた。そう、はじめは一人だった。いつからか俺は白い線の上を歩くようになった。その道は、ずっと先まで続いている。その先でこの道をつくりながら歩いている影がある。「さちお」だ。さちおが暗闇をかき分けるように進むと、その足元が白く輝き、道ができる。俺はその道を、さちおを追うように歩いている、、、。
「さちお!」俺は声をかけた。しかし、さちおは気づくそぶりもみせない。「どうしたんだ!俺だよ、さぶだよ!」どれだけ声を上げて叫んでもさちおは振り返ろうとしない。ただ、道をつくりながら歩いてゆく、、、。俺はさちおに追いつこうと、走った。がむしゃらに走った。しかし、俺がかけるのと同時にさちおも走っていく、、、。
これじゃあ追いつけない。「さちお、、、。」俺は疲れ果て、その場に立ち尽くした。さちおはどんどん歩いていく、、、そして、遠くかなたへ消えてしまった。
俺は途方にくれた。さちおに追いつきたかった。さちおに負けたくなかった。さちおを超えたかった。しかし、、、「これではさちおに届かない、、、。俺は一体どうすれば、、、。」
その時、天から声がきこえてきた。「さぶよ今のままではさちおに届かないぞ」むしゃくしゃした「じゃあ一体、俺はどうしたらいいんだ!」「、、、なぜ、さちおに届かないのかわからないのか?それは お前の 進む 道が さちおの道 だからだ。お前はお前の 道を 進む べきだ。」「俺の、、、道?俺の道なんてないぞ!教えてくれ!俺の道はどこにあるんだ!」声はもうきこえなくなっていた。
やがてサブはあることに気づいた。そして、ふと、暗闇の中を進んでみようと思った。一歩、また一歩と足を闇の中に置いていく。すると足元が白く輝き出した。俺の歩いたところに白い筋が作られていく、、、。「俺の 道。」そう、道は自分で作ればいい。さぶの心の中の迷いは消え去った。
何となく、さっきの天の声は自分の心の叫びだったような気がした。
まさかこんな日を迎えるとは、果てしなく遠い日だと思っていた。だが今日ようやくその日にたどり着いた。今日だけは自分に頑張ったなと言いたい。信じられない位辛い思いをした。何がいけなかったんだろう。こんな思いはもう二度としたくない。だがつらい時期はこうやって突然やってくるのかもしれない。そう思うと不安にさいなまれる。 こんな時はあの詩を思い出そう。
柱は天を支える。しかし、それは同時に私たちを捕らえる牢獄の檻にもなる。人生は短い。
まいにち後悔することばかりで、何が正しいのか、わからないことばかり。そんな中、だからこそ、「何があってもやるしかねぇ」心の声だった。
そして、なんでも自分のせいにするのをやめた。
何が正しいかよくわからない世界で、よくわからないことをする。よくわからないが、その結果として、その関連で、
どこかで綺麗な花が咲けばいいなと思う。
(ただ、良いと思うことをやってみます。呼吸のように。)
明日、死ぬかもしれないから明日へ生きる。
Maximumart無限とともに生きる
episode1 本日はありがとうございます。
私は、人生におけるセレクションをテーマに制作しております。今回は、大まかに2つの物語が交錯するように作りました。
一つは森の中で目を覚まし、夢を見たり覚めたりしながら海や山を旅するストーリー
もう一つは子供の頃絵の具セットを紛失しそれを探して記憶を辿る物語となります
どちらも最後はラーメン屋の屋台にたどり着き、「ああ、そうか」と
何かに気づいてもらえたらと思います。それぞれが答えを出してもらえればいいかなと。
という構成になっています。
episode2 何が正しいかよくわからない世界でよくわからないことをする。よくわからないが、その結果として関連で、どこかで綺麗な花が咲けばいいなと思う。
ただ、がむしゃらに何かをがんばって生きていけば、例えば自分とは関係ないところ、遠い地で新しい命が誕生するかのように。どこかで万華鏡の花のようなもの、が咲けばいいなという思いを込めて作りました。
作品を見る人がその作品に関わることによって、その作品は動き出します。
人生におけるセレクションについて、無くした記憶を探しもとめる旅に
お手数ですか、作品にお付き合いいただき、一考していただければと思います。
最後にラーメンにたどり着いたとき、何か思っていただければと思います。
私も様々なセレクションの末、 今、ここに立っています。しかし、もし、その2つの道を同時に選べる としたら、あなたならどうしますか? それでもまだ1つの道だけを歩みますか?道だと決めつけているから、1つしか選べないと思うのではないでしょうか!それは道ではないかも知れません、、、そのような可能性を探して旅をしています。
つまり実態が無いものを信じるということです。
episode3 セレクションは善悪や好き嫌い、時には使命感などを伴い、迷いますが、どれを選んでもいいのです。後になって、ああすれは良かった。と、後悔したりしますが、結局、その時の判断は最善だった筈です。それでいいと思います。まぁ、好きなように生きればいいじゃないですかレイドスコープ2022